古典和歌stream

我が待ちし秋は来りぬ妹と我れと
何事あれぞ紐解かずあらむ

歌の意味
私が待っていた秋はやって来た。妻と私とが、どんなことがあって紐を解かずにいるだろうか。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2036

詞書は前の歌に続き「七夕」
 待ちわびた秋がついに来た以上、妻と共寝をしないでいられようかと喜びを詠んだ彦星の歌である。反語の強い言い方に、一年待ち続けた逢瀬の時を迎える高揚した心が表れている。本巻の第二千十四首の「我が待ちし秋萩咲きぬ」と同じく「我が待ちし」で始まり、待ちわびた秋の到来を喜んでいる。

 初句「我が待ちし」は私が待っていたの意で、第二千十四首と同じ初句である。
 二句「秋は来りぬ」の「ぬ」は完了で、ここで二句切れとなる。
 三句「妹と我れと」は妻と私とがの意で、字余りの句である。
 四句「何事あれぞ」の「ぞ」は強意で、どんなことがあってかの意である。
 結句「紐解かずあらむ」は紐を解かずにいるだろうか、いやいないの意で、反語の含みをもつ。共寝への強い思いを示して結ぶ。

ひもとく:衣の紐を解く。共寝することを暗示する
出典
万葉集
前の歌
年にありて今か巻くらむぬばたまの 夜霧隠れる遠妻の手を
次の歌
年の恋今夜尽して明日よりは 常のごとくや我が恋ひ居らむ