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天の川川門に立ちて我が恋ひし
君来ますなり紐解き待たむ

歌の意味
天の川の渡り口に立って私が恋い慕っていたあなたがおいでになるようだ。紐を解いて待とう。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2048

詞書は前の歌に続き「七夕」
 天の川の渡り口に立って恋い慕っていた彦星がやって来る気配に、紐を解いて待とうと詠んだ織女の歌である。待ちわびた逢瀬の時を迎える喜びと期待が表れている。訓読には「一云 天の川川に向き立ち」の異伝が添えられ、初二句を天の川の川に向かって立ちとする伝えもある。本巻の第二千十六首で彦星が紐を解いて行こうと詠んだのに対し、この歌は織女が紐を解いて待とうと詠み、二首が呼応している。

 初句「天の川」は二星を隔てる川である。
 二句「川門に立ちて」の「川門」は川の渡り口の意である。
 三句「我が恋ひし」の「し」は過去の「き」の連体形で、私が恋い慕っていたの意となる。
 四句「君来ますなり」の「ます」は尊敬語、「なり」は伝聞推定で、おいでになるようだの意である。ここで四句切れとなる。
 結句「紐解き待たむ」の「む」は意志である。紐を解いて待とうという期待を示して結ぶ。

かはと:川の渡り口。川幅が狭くなったところ
ひもとく:衣の紐を解く。共寝することを暗示する
出典
万葉集
前の歌
天の川川の音清し彦星の 秋漕ぐ舟の波のさわきか
次の歌
天の川川門に居りて年月を 恋ひ来し君に今夜逢へるかも