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この夕降りくる雨は彦星の
早漕ぐ舟の櫂の散りかも

歌の意味
この夕べに降ってくる雨は、彦星が急いで漕ぐ舟の櫂からしたたり散るしぶきであろうか。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2052

詞書は前の歌に続き「七夕」
 七夕の夕べに降ってくる雨を、彦星が急いで漕ぐ舟の櫂から散るしぶきに見立てた歌である。地上に降る雨を天上の彦星の渡りと結びつけ、逢瀬を急ぐ彦星の姿を想像している。本巻の第二千四十一首が白雲を織女の領巾に見立てたのと同じく、地上から見える自然現象を七夕の二星の姿に見立てている。

 初句「この夕」は七夕の夕べを指す。
 二句「降りくる雨は」は降ってくる雨はの意で、主題を示す。
 三句「彦星の」は牽牛星のの意である。
 四句「早漕ぐ舟の」は急いで漕ぐ舟のの意である。逢瀬を急ぐ彦星の心を示す。
 結句「櫂の散りかも」は櫂から散るしぶきであろうかの意で、見立てを示して結ぶ。

かい:舟を漕ぐ道具。櫂
出典
万葉集
前の歌
天の原行きて射てむと白真弓 引きて隠れる月人壮士
次の歌
天の川八十瀬霧らへり彦星の 時待つ舟は今し漕ぐらし