- 歌の意味
- 天の川は遠い渡しではないけれども、あなたの舟出は一年に一度だけしか待てないのだ。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2055
詞書は前の歌に続き「七夕」
天の川は遠い渡しではないのに、彦星の舟出は一年に一度しか待つことができないと嘆く織女の歌である。距離の近さと逢瀬のまれさとの対比が、定めによって隔てられた恋の切なさを際立たせている。本巻の第二千七首が天の川を隔てとした神代を恨んだのと通じ、近くて遠い二星の関係が詠まれている。
初句「天の川」は二星を隔てる川である。
二句「遠き渡りは」は遠い渡しはの意である。
三句「なけれども」の「ども」は逆接で、ないけれどもの意となる。
四句「君が舟出は」はあなたの舟出はの意である。
結句「年にこそ待て」の「こそ」は強意の係助詞で、「待て」は已然形の結びである。一年に一度だけ待つことを強調して結ぶ。
わたり:渡し場。川を渡る所
- 出典
- 万葉集
- 前の歌
- 風吹きて川波立ちぬ引き船に 渡りも来ませ夜の更けぬ間に
- 次の歌
- 天の川打橋渡せ妹が家道 やまず通はむ時待たずとも