ただ今夜逢ひたる子らに言どひも
いまだせずしてさ夜ぞ明けにける
- 歌の意味
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ただ今夜だけ逢えたあの子に、言葉を交わすこともまだしないうちに、夜が明けてしまった。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2060
詞書は前の歌に続き「七夕」
今夜ようやく逢えた織女と、まだ言葉も十分に交わさないうちに夜が明けてしまったと嘆く彦星の歌である。一年待ち続けた逢瀬のあまりの短さが、言葉さえ交わせなかったという表現に凝縮されている。前歌で夜の更けないうちにと急いだ彦星が、この歌ではもう夜明けを迎えており、一連の中で時が一気に進んでいる。
初句「ただ今夜」はただ今夜だけの意で、字足らずの句である。
二句「逢ひたる子らに」は逢えたあの子にの意である。
三句「言どひも」は言葉を交わすこともの意である。
四句「いまだせずして」はまだしないうちにの意である。
結句「さ夜ぞ明けにける」の「ぞ」は強意の係助詞で、「ける」の連体形と係り結びをなす。字余りの句で、夜明けの無情を嘆いて結ぶ。
ことどひ:言葉を交わすこと
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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天の川波は立つとも我が舟は いざ漕ぎ出でむ夜の更けぬ間に
- 次の歌
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天の川白波高し我が恋ふる 君が舟出は今しすらしも