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いにしへゆ織りてし服をこの夕
衣に縫ひて君待つ我れを

歌の意味
昔から織ってきた布を、この夕べ衣に縫い上げて、あなたを待っている私であるのに。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2064

詞書は前の歌に続き「七夕」
 昔から織り続けてきた布をこの夕べに衣に縫い上げて、彦星を待っていると詠んだ織女の歌である。長い時間をかけた機織りの成果を衣に仕立てて逢瀬に備える姿に、待ち続けた年月の重みと待つ喜びが表れている。本巻の第二千十九首で顧みなかった機が、この歌では衣として仕上げられており、一連の中で機織りをめぐる歌が対応している。

 初句「いにしへゆ」は昔からの意で、第二千十九首と同じ初句である。
 二句「織りてし服を」の「てし」は完了の「つ」と過去の「き」で、織ってきた布をの意となる。
 三句「この夕」は七夕の夕べを指す。
 四句「衣に縫ひて」は衣に縫い上げての意である。
 結句「君待つ我れを」の「を」は詠嘆を含む接続助詞で、待っている私なのにの意となる。

はた:機。機で織った布
出典
万葉集
前の歌
天の川霧立ち上る織女の 雲の衣のかへる袖かも
次の歌
足玉も手玉もゆらに織る服を 君が御衣に縫ひもあへむかも