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天の川瀬ごとに幣をたてまつる
心は君を幸く来ませと

歌の意味
天の川の瀬ごとに幣を捧げる心は、あなたが無事においでになるようにとの思いからである。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2069

詞書は前の歌に続き「七夕」
 天の川の瀬ごとに幣を捧げて、彦星が無事に渡って来るよう祈る織女の歌である。渡りの安全を神に祈る習俗を天上の二星に重ね、恋人の無事を願う切実な心を示している。本巻の第二千四十六首で彦星の身を案じた心と通じ、渡りの無事を祈る歌が一連の中に見られる。

 初句「天の川」は二星を隔てる川である。
 二句「瀬ごとに幣を」の「幣」は神に捧げる供え物で、麻や紙などで作った。
 三句「たてまつる」は差し上げる、捧げるの意である。
 四句「心は君を」は捧げる心はあなたをの意である。
 結句「幸く来ませと」の「幸く」は無事で、「ませ」は尊敬の命令形である。無事に来てほしいと祈る心を示して結ぶ。

ぬさ:神に祈るときに捧げる供え物。麻や紙などで作る
出典
万葉集
前の歌
天の原降り放け見れば天の川 霧立ちわたる君は来ぬらし
次の歌
久方の天の川津に舟浮けて 君待つ夜らは明けずもあらぬか