天の川渡り瀬ごとに思ひつつ
来しくもしるし逢へらく思へば
- 歌の意味
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天の川の渡り瀬ごとに思い続けながらやって来たかいがあった。こうして逢えたことを思うと。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2074
詞書は前の歌に続き「七夕」
天の川の渡り瀬を越えるたびに恋人を思いながらやって来たかいがあったと、逢えた喜びを詠んだ彦星の歌である。苦労してたどり着いた逢瀬の喜びが、「来しくもしるし」の語に込められている。本巻の第二千六十九首で織女が瀬ごとに幣を捧げて彦星の無事を祈ったのに対し、この歌は彦星が瀬ごとに織女を思いながら来たと詠んでおり、二首は祈る側と渡る側の対応を示している。
初句「天の川」は二星を隔てる川である。
二句「渡り瀬ごとに」は渡り瀬の一つ一つでの意で、第二千六十九首の「瀬ごとに」と対応する。
三句「思ひつつ」の「つつ」は継続で、思い続けながらの意である。
四句「来しくもしるし」の「来しく」は「来し」のク語法、「しるし」はかいがある意である。ここで四句切れとなる。
結句「逢へらく思へば」の「逢へらく」は「逢へり」のク語法である。逢えた喜びを示して結ぶ。
しるし:効果がある。かいがある
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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ま日長く川に向き立ちありし袖 今夜巻かむと思はくがよさ
- 次の歌
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人さへや見継がずあらむ彦星の 妻呼ぶ舟の近づき行くを