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天の川瀬を早みかもぬばたまの
夜は更けにつつ逢はぬ彦星

歌の意味
天の川の瀬の流れが速いからだろうか、夜は更けていくのに、まだ逢えずにいる彦星よ。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2076

詞書は前の歌に続き「七夕」
 天の川の瀬の流れが速いためか、夜が更けていくのにまだ織女に逢えずにいる彦星を思いやる歌である。第三者の立場から、逢瀬を妨げられる彦星のもどかしさを気遣っている。本巻の第二千十八首で彦星自身が渡り瀬を探すうちに夜が更けたと嘆いたのと通じ、渡りの困難が逢瀬を遅らせる嘆きが繰り返されている。

 初句「天の川」は二星を隔てる川である。
 二句「瀬を早みかも」の「み」は原因、「かも」は疑問で、瀬が速いからだろうかの意となる。
 三句「ぬばたまの」は「夜」にかかる枕詞である。
 四句「夜は更けにつつ」の「つつ」は継続で、夜は更けていくのにの意である。
 結句「逢はぬ彦星」は逢えずにいる彦星の意で、体言止めである。彦星を思いやって結ぶ。

ぬばたま:ヒオウギの実。黒いことから「ぬばたまの」で「夜」「黒」などにかかる枕詞となる
出典
万葉集
前の歌
人さへや見継がずあらむ彦星の 妻呼ぶ舟の近づき行くを
次の歌
渡り守舟早渡せ一年に ふたたび通ふ君にあらなくに