- 歌の意味
- 渡し守よ、早く舟を渡しておくれ。一年に二度も通って来るあなたではないのだから。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2077
詞書は前の歌に続き「七夕」
渡し守に早く舟を渡すよう促し、一年に二度とは来られない相手なのだからと急がせる歌である。年に一度という逢瀬の貴重さが、渡し守への切迫した呼びかけとなって表れている。本巻の第二千七十二首で彦星が渡し守に呼びかけても届かなかったのに対し、この歌も渡し守に早く渡すよう求めており、渡し守をめぐる歌が続いている。
初句「渡り守」は渡し守の意で、第二千七十二首と同じ初句である。
二句「舟早渡せ」は早く舟を渡せの意で、ここで二句切れとなる。
三句「一年に」は一年のうちにの意である。
四句「ふたたび通ふ」は二度通うの意である。
結句「君にあらなくに」の「なくに」は打ち消しのク語法に「に」の付いた形で、あなたではないのだからの意である。倒置によって急ぐ理由を示して結ぶ。
わたりもり:渡し場の舟の番人
- 出典
- 万葉集
- 前の歌
- 天の川瀬を早みかもぬばたまの 夜は更けにつつ逢はぬ彦星
- 次の歌
- 玉葛絶えぬものからさ寝らくは 年の渡りにただ一夜のみ