天の川去年の渡り瀬荒れにけり
君が来まさむ道の知らなく
- 歌の意味
-
天の川の去年の渡り瀬は荒れてしまった。あなたがおいでになるはずの道がわからないことだ。
- 鑑賞
-
巻第十 秋雑歌 2084
詞書は前の歌に続き「七夕」
天の川の去年の渡り瀬が荒れてしまい、彦星の来る道がわからないと案じる織女の歌である。本巻の第二千十八首で彦星が去年の渡り瀬の移り変わりを嘆いたのに対し、この歌は織女の側から同じ渡り瀬の変化を案じており、二首は二星の双方から同じ状況を詠んでいる。一年の隔たりの長さが、渡り瀬の荒廃に表れている。
初句「天の川」は二星を隔てる川である。
二句「去年の渡り瀬」は去年渡った浅瀬の意で、第二千十八首と同じ語である。
三句「荒れにけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、ここで三句切れとなる。
四句「君が来まさむ」の「ます」は尊敬語、「む」は推量で、おいでになるはずのの意である。
結句「道の知らなく」の「知らなく」は「知らず」のク語法で、道がわからないことよの意となる。詠嘆をこめて結ぶ。
わたりぜ:川を歩いて渡る浅瀬
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
秋風の吹きにし日より天の川 瀬に出で立ちて待つと告げこそ
- 次の歌
-
天の川瀬々に白波高けども 直渡り来ぬ待たば苦しみ