渡り守舟出し出でむ今夜のみ
相見て後は逢はじものかも
- 歌の意味
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渡し守よ、舟出をして行こう。今夜だけ逢って、その後はもう逢わないというわけではないのだから。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2087
詞書は前の歌に続き「七夕」
渡し守に舟出をしようと告げ、今夜だけ逢って後は逢わないわけではないと自らに言い聞かせる彦星の歌である。別れのつらさを、来年もまた逢えるという思いで慰めようとする心が表れている。本巻の第二千二十二首の「舟出せむ妻」と同じく、逢瀬の後の舟出を詠んでおり、渡し守をめぐる一連の歌が続いている。
初句「渡り守」は渡し守の意で、第二千七十二首などと同じ初句である。
二句「舟出し出でむ」の「む」は意志で、舟出をして行こうの意である。ここで二句切れとなる。
三句「今夜のみ」は今夜だけの意である。
四句「相見て後は」は逢って後はの意である。
結句「逢はじものかも」の「じ」は打ち消し推量、「ものかも」は反語的な詠嘆で、逢わないというわけではあるまいの意である。
わたりもり:渡し場の舟の番人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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彦星の妻呼ぶ舟の引き綱の 絶えむと君を我が思はなくに
- 次の歌
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我が隠せる楫棹なくて渡り守 舟貸さめやもしましはあり待て