さを鹿の心相思ふ秋萩の
しぐれの降るに散らくし惜しも
- 歌の意味
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雄鹿が心から思い合う秋萩が、しぐれの降るのに散ってしまうのは惜しいことだ。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2094
詞書「花を詠む」
雄鹿と心を通わせ合う秋萩が、しぐれに散ってしまうことを惜しむ歌で、題詞は「花を詠む」である。鹿と萩を恋人どうしのように見立てる趣向は万葉集に多く、萩が鹿の妻とされることもあった。七夕歌の長い一連の後、秋雑歌は萩の花を詠む一連へと移り、秋の景物が次々と詠まれていく。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「さを鹿の」の「さ」は接頭語で、雄鹿のの意である。
二句「心相思ふ」は心から思い合うの意である。鹿と萩を恋人どうしに見立てている。
三句「秋萩の」は秋に咲く萩のの意で、秋の花の代表である。
四句「しぐれの降るに」はしぐれが降るのにの意である。
結句「散らくし惜しも」の「散らく」は「散る」のク語法、「し」は強意、「も」は詠嘆である。散ることを惜しんで結ぶ。
さをしか:雄鹿。「さ」は接頭語
しぐれ:秋から冬にかけて降ったりやんだりする雨
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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妹に逢ふ時片待つとひさかたの 天の川原に月ぞ経にける
- 次の歌
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夕されば野辺の秋萩うら若み 露にぞ枯るる秋待ちかてに