夕されば野辺の秋萩うら若み
露にぞ枯るる秋待ちかてに
- 歌の意味
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夕方になると、野辺の秋萩はまだ若く弱いので、露に当たって枯れてしまう。秋の盛りを待ちきれないで。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2095
詞書は前の歌に続き「花を詠む」
夕方の野辺の秋萩が、まだ若く弱いために露に当たって枯れてしまうことを惜しむ歌である。秋の盛りを待たずに枯れていく若い萩に、はかない命への哀れみが込められている。前歌と同じく人麻呂歌集の歌で、前歌がしぐれに散る萩を惜しんだのに対し、この歌は露に枯れる萩を惜しんでいる。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「夕されば」は夕方になるとの意である。
二句「野辺の秋萩」は野辺の萩の意である。
三句「うら若み」の「うら若し」は若々しくて弱々しい意、「み」は原因を表す。
四句「露にぞ枯るる」の「ぞ」は強意の係助詞で、「枯るる」の連体形と係り結びをなす。ここで四句切れとなる。
結句「秋待ちかてに」の「かてに」はできずにの意で、秋の盛りを待ちきれないでの意となる。倒置によって嘆きを最後に示している。
のへ:野のあたり。野原
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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さを鹿の心相思ふ秋萩の しぐれの降るに散らくし惜しも
- 次の歌
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真葛原靡く秋風吹くごとに 阿太の大野の萩の花散る