- 歌の意味
- 恋しい時には形見にしなさいと、あの方が植えていった秋萩が、花を咲かせたことだ。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2119
詞書は前の歌に続き「花を詠む」
恋しい時には形見にしなさいと言って恋人が植えていった萩が、花を咲かせたことを詠んだ歌である。萩の花が恋人の面影となり、会えない寂しさと恋人の心づかいへの思いとが重なっている。夏雑歌の第千九百六十六首の花橘を恋人のなごりとして偲んだ歌と同じく、花に恋人の面影を託している。
初句「恋しくは」は恋しい時にはの意である。
二句「形見にせよと」は形見にしなさいとの意である。恋人の言葉を示す。
三句「我が背子が」は女性が恋人を呼ぶ語である。
四句「植ゑし秋萩」の「し」は過去の「き」の連体形で、植えていった萩の意である。
結句「花咲きにけり」の「けり」は気づきの詠嘆である。萩の開花に恋人を思う心を示して結ぶ。
かたみ:思い出のよすがとなるもの。形見
- 出典
- 万葉集
- 前の歌
- 朝霧のたなびく小野の萩の花 今か散るらむいまだ飽かなくに
- 次の歌
- 秋萩に恋尽さじと思へども しゑやあたらしまたも逢はめやも