春日野の萩し散りなば朝東風の
風にたぐひてここに散り来ね
- 歌の意味
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春日野の萩が散るのなら、朝の東風に連れ添って、ここに散って来てほしい。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2125
詞書は前の歌に続き「花を詠む」
春日野の萩が散るのならば、朝の東風に乗ってここまで散って来てほしいと願う歌である。散ることを嘆くのではなく、散った花びらを手元に呼び寄せたいという発想に、萩への愛着が表れている。春雑歌の春日野の霞や野遊びの一連に対し、秋の萩の一連でも春日野が詠まれ、同じ土地が季節を越えて詠み継がれている。
初句「春日野の」は奈良の都の東にある春日野のの意である。
二句「萩し散りなば」の「し」は強意、「な」は完了の「ぬ」の未然形、「ば」は仮定である。
三句「朝東風の」の「東風」は東から吹く風である。
四句「風にたぐひて」の「たぐふ」は連れ添う意で、夏雑歌の第千九百五十九首と同じ語である。
結句「ここに散り来ね」の「ね」は他に対する願望を表す終助詞で、ここに散って来てほしいの意である。
こち:東から吹く風
たぐふ:連れ添う。並ぶ
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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見まく欲り我が待ち恋ひし秋萩は 枝もしみみに花咲きにけり
- 次の歌
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秋萩は雁に逢はじと言へればか 声を聞きては花に散りぬる