さを鹿の妻どふ時に月をよみ
雁が音聞こゆ今し来らしも
- 歌の意味
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雄鹿が妻を求めて鳴く時に、月が美しいので、雁の声が聞こえる。今まさに雁がやって来たらしい。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2131
詞書は前の歌に続き「雁を詠む」
雄鹿が妻を求める季節の、月の美しい夜に雁の声が聞こえ、今まさに雁が渡って来たらしいと推し量る歌である。鹿の妻問い、月、雁という秋の景物が重なり合い、秋の夜の情趣が豊かに描かれている。前歌までの去りゆく雁に対し、この歌は渡って来る雁を詠んでおり、来る雁と去る雁の対比が見られる。
初句「さを鹿の」は雄鹿のの意である。
二句「妻どふ時に」は妻を求める時にの意で、鹿の繁殖期である秋を示す。
三句「月をよみ」の「み」は原因を表し、月がよいのでの意となる。
四句「雁が音聞こゆ」は雁の声が聞こえるの意で、ここで四句切れとなる。
結句「今し来らしも」の「し」は強意、「らし」は根拠ある推定、「も」は詠嘆である。雁の到来を推し量って結ぶ。
つまどふ:妻や恋人のもとを訪ねる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が宿に鳴きし雁がね雲の上に 今夜鳴くなり国へかも行く
- 次の歌
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天雲の外に雁が音聞きしより はだれ霜降り寒しこの夜は