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葦辺なる荻の葉さやぎ秋風の
吹き来るなへに雁鳴き渡る

歌の意味
葦辺にある荻の葉がさやさやと鳴り、秋風が吹いてくるのにつれて、雁が鳴きながら渡っていく。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2134

詞書は前の歌に続き「雁を詠む」
 葦辺の荻の葉がさやぐ音と、秋風の吹き来るのにつれて鳴き渡る雁の声とを重ねた歌である。荻の葉のさやぎ、秋風、雁の声という音の重なりが、秋の水辺の情景を立体的に描き出している。訓読には「一云 秋風に雁が音聞こゆ今し来らしも」の異伝が添えられている。本巻の第千八百二十一首の「流るるなへに」と同じく、「なへに」の語で二つの動きを重ねている。

 初句「葦辺なる」は葦の生えている水辺にあるの意である。
 二句「荻の葉さやぎ」の「さやぐ」はさやさやと音を立てる意である。
 三句「秋風の」は秋風がの意である。
 四句「吹き来るなへに」の「なへに」はそれにつれての意である。
 結句「雁鳴き渡る」は雁が鳴きながら渡るの意で、秋の音の重なりを示して結ぶ。

をぎ:水辺に生えるイネ科の草
さやぐ:さやさやと音を立てる
出典
万葉集
前の歌
秋の田の我が刈りばかの過ぎぬれば 雁が音聞こゆ冬かたまけて
次の歌
おしてる難波堀江の葦辺には 雁寝たるかも霜の降らくに