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秋風に山飛び越ゆる雁がねの
声遠ざかる雲隠るらし

歌の意味
秋風に乗って山を飛び越えていく雁の声が遠ざかっていく。雲に隠れたらしい。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2136

詞書は前の歌に続き「雁を詠む」
 秋風に乗って山を飛び越えていく雁の声が遠ざかり、雲に隠れたらしいと推し量る歌である。本巻の第二千百二十八首と同じく秋風に山を越える雁を詠むが、前の歌が雁の姿の遠ざかりを見たのに対し、この歌は声の遠ざかりによって雁の行方を知っており、視覚と聴覚の対照が見られる。

 初句「秋風に」は第二千百二十八首と同じ初句である。
 二句「山飛び越ゆる」は山を飛び越えていくの意である。
 三句「雁がねの」は雁のの意である。
 四句「声遠ざかる」は声が遠ざかるの意で、ここで四句切れとなる。
 結句「雲隠るらし」の「らし」は根拠ある推定で、声の遠ざかりを根拠に雲に隠れたと推し量って結ぶ。

くもがくる:雲に隠れる
出典
万葉集
前の歌
おしてる難波堀江の葦辺には 雁寝たるかも霜の降らくに
次の歌
朝に行く雁の鳴く音は我がごとく 物思へれかも声の悲しき