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鶴がねの今朝鳴くなへに雁がねは
いづくさしてか雲隠るらむ

歌の意味
鶴が今朝鳴くのにつれて、雁はどこを目指して雲に隠れていくのだろうか。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2138

詞書は前の歌に続き「雁を詠む」
 今朝鶴が鳴くのにつれて、雁はどこを目指して雲に隠れていくのだろうと思いやる歌である。鶴と雁という二つの渡り鳥の声と姿が重ねられ、秋の朝の空の情景が描かれている。本巻の第二千百三十六首の雲に隠れる雁と同じく、雲のかなたへ去る雁の行方を思っている。

 初句「鶴がねの」の「鶴がね」は鶴の鳴き声、転じて鶴を指す。
 二句「今朝鳴くなへに」の「なへに」はそれにつれての意である。
 三句「雁がねは」は雁はの意である。
 四句「いづくさしてか」の「か」は疑問の係助詞で、結句の「らむ」と係り結びをなす。どこを目指してかの意となる。
 結句「雲隠るらむ」の「らむ」は現在推量である。雁の行方を思いやって結ぶ。

たづがね:鶴の鳴き声。転じて鶴
出典
万葉集
前の歌
朝に行く雁の鳴く音は我がごとく 物思へれかも声の悲しき
次の歌
ぬばたまの夜渡る雁はおほほしく 幾夜を経てかおのが名を告る