君に恋ひうらぶれ居れば敷の野の
秋萩しのぎさを鹿鳴くも
- 歌の意味
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あなたを恋しく思ってしょんぼりしていると、敷の野の秋萩を押し分けて、雄鹿が鳴いている。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2143
詞書は前の歌に続き「鹿鳴を詠む」
恋人を思って沈んでいると、敷の野の萩を押し分けて雄鹿が鳴く声が聞こえると詠んだ歌である。妻を求める鹿の声が、恋に沈む作者の心と響き合い、恋しさをいっそうかき立てている。春雑歌の第千八百十五首の「木の葉しのぎて」と同じく「しのぐ」の語で、萩を押し分けて進む鹿の力強さが示されている。
初句「君に恋ひ」はあなたを恋しく思っての意である。
二句「うらぶれ居れば」の「うらぶる」はしょんぼりする、心が沈む意である。
三句「敷の野の」は大和国磯城の野とされ、字余りの句である。
四句「秋萩しのぎ」の「しのぐ」は押し分ける意である。
結句「さを鹿鳴くも」の「も」は詠嘆である。鹿の声に恋の思いを重ねて結ぶ。
うらぶる:しょんぼりする。心が沈む
しのぐ:押し伏せる。押し分ける
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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さを鹿の妻ととのふと鳴く声の 至らむ極み靡け萩原
- 次の歌
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雁は来ぬ萩は散りぬとさを鹿の 鳴くなる声もうらぶれにけり