あしひきの山より来せばさを鹿の
妻呼ぶ声を聞かましものを
- 歌の意味
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山を通って来たならば、雄鹿の妻を呼ぶ声を聞くことができただろうに。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2148
詞書は前の歌に続き「鹿鳴を詠む」
山を通って来たならば雄鹿の妻を呼ぶ声を聞けたのにと、その機会を逃したことを惜しむ歌である。前歌の山にも野にも鳴く鹿に対し、この歌は鹿の声を聞き逃した残念さを詠んでおり、鹿の声を待ち望む心が反実仮想の形で表されている。前の第二千百四十六首が鹿の声に眠れないことを嘆いたのとは反対の心である。
初句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
二句「山より来せば」の「せ」は過去の「き」の未然形、「ば」は仮定で、山を通って来たならばの意となる。
三句「さを鹿の」は雄鹿のの意である。
四句「妻呼ぶ声を」は妻を呼ぶ声をの意である。
結句「聞かましものを」の「まし」は反実仮想、「ものを」は逆接、詠嘆である。聞けたのにと惜しんで結ぶ。
あしひき:「あしひきの」で「山」にかかる枕詞となる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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山の辺にい行くさつ男は多かれど 山にも野にもさを鹿鳴くも
- 次の歌
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山辺にはさつ男のねらひ畏けど を鹿鳴くなり妻が目を欲り