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山遠き都にしあればさを鹿の
妻呼ぶ声は乏しくもあるか

歌の意味
山から遠い都であるので、雄鹿の妻を呼ぶ声はめったに聞けないことだ。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2151

詞書は前の歌に続き「鹿鳴を詠む」
 山から遠い都に住んでいるので、雄鹿の妻を呼ぶ声を聞くことがめったにないと残念がる歌である。都の生活の中で自然の声に触れることの少なさを嘆き、鹿の声への憧れが表れている。本巻の第二千百四十六首の山近くに住んで鹿の声に眠れない歌とは対照的に、この歌は山から遠いために鹿の声が乏しいことを嘆いている。

 初句「山遠き」は山から遠いの意である。
 二句「都にしあれば」の「し」は強意、「ば」は確定条件で、都であるのでの意となる。
 三句「さを鹿の」は雄鹿のの意である。
 四句「妻呼ぶ声は」は妻を呼ぶ声はの意である。
 結句「乏しくもあるか」の「乏し」は少ない、めったにない意、「か」は詠嘆である。字余りの句で、鹿の声の乏しさを嘆いて結ぶ。

みやこ:天皇の住む宮のある地。都
出典
万葉集
前の歌
秋萩の散りゆく見ればおほほしみ 妻恋すらしさを鹿鳴くも
次の歌
秋萩の散り過ぎゆかばさを鹿は わび鳴きせむな見ずはともしみ