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秋萩の咲きたる野辺はさを鹿ぞ
露を別けつつ妻どひしける

歌の意味
秋萩の咲いている野辺では、雄鹿が露を分けながら妻を求めて歩き回っていた。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2153

詞書は前の歌に続き「鹿鳴を詠む」
 秋萩の咲く野辺で、雄鹿が露を分けながら妻を求めていた様子を詠んだ歌である。露に濡れる萩の野を分けて進む鹿の姿が、妻を求めるひたむきさとともに美しく描かれている。夏相聞の第千九百九十四首の「夏草の露別け衣」と同じく、露を分けて進む姿を詠んでいる。

 初句「秋萩の」は秋萩のの意である。
 二句「咲きたる野辺は」は咲いている野辺ではの意である。
 三句「さを鹿ぞ」の「ぞ」は強意の係助詞で、結句の「ける」と係り結びをなす。
 四句「露を別けつつ」は露を分けながらの意である。
 結句「妻どひしける」の「ける」は「けり」の連体形で、三句の「ぞ」の結びである。妻を求める鹿の姿を示して結ぶ。

つまどふ:妻や恋人のもとを訪ねる。妻を求める
出典
万葉集
前の歌
秋萩の散り過ぎゆかばさを鹿は わび鳴きせむな見ずはともしみ
次の歌
なぞ鹿のわび鳴きすなるけだしくも 秋野の萩や繁く散るらむ