なぞ鹿のわび鳴きすなるけだしくも
秋野の萩や繁く散るらむ
- 歌の意味
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どうして鹿が嘆き悲しんで鳴いているのだろう。もしかしたら秋の野の萩がしきりに散っているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2154
詞書は前の歌に続き「鹿鳴を詠む」
鹿が嘆き悲しんで鳴くのはなぜかと問い、秋の野の萩がしきりに散っているからだろうかと推し量る歌である。本巻の第二千百五十二首で萩が散ったら鹿はわび鳴きするだろうと予想したのに対し、この歌は鹿のわび鳴きを聞いて萩の散ることを推し量っており、二首は因果を逆にたどっている。
初句「なぞ鹿の」の「なぞ」はなぜの意である。
二句「わび鳴きすなる」の「なる」は伝聞推定の「なり」の連体形で、嘆き悲しんで鳴いているのはの意となる。ここで二句切れとなる。
三句「けだしくも」はもしかしたらの意である。
四句「秋野の萩や」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「らむ」と係り結びをなす。
結句「繁く散るらむ」の「らむ」は原因推量である。鹿の嘆きの理由を推し量って結ぶ。
わびなき:嘆き悲しんで鳴くこと
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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秋萩の咲きたる野辺はさを鹿ぞ 露を別けつつ妻どひしける
- 次の歌
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秋萩の咲たる野辺にさを鹿は 散らまく惜しみ鳴き行くものを