あしひきの山の常蔭に鳴く鹿の
声聞かすやも山田守らす子
- 歌の意味
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山のいつも日の当たらない陰で鳴く鹿の声を、お聞きになっているだろうか、山の田の番をしておられる娘よ。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2156
詞書は前の歌に続き「鹿鳴を詠む」
山陰で鳴く鹿の声を、山田の番をしている娘は聞いているだろうかと思いやる歌で、鹿の鳴く声の一連を締めくくる。寂しい山陰で田を守る娘の姿と、鹿の妻呼ぶ声とが重なり、娘への恋心もほのかにうかがえる。本巻の第二千百首の仮廬の萩と同じく、山田の番という農事の場を詠んでいる。
初句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
二句「山の常蔭に」の「常蔭」はいつも日の当たらない陰の意である。
三句「鳴く鹿の」は鳴く鹿のの意である。
四句「声聞かすやも」の「す」は尊敬、「やも」は疑問で、声をお聞きになるだろうかの意である。ここで四句切れとなる。
結句「山田守らす子」の「守る」は番をする意、「す」は尊敬で、山の田の番をしておられる娘よの意となる。
とかげ:いつも日の当たらない陰
もる:見張って守る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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秋萩の咲たる野辺にさを鹿は 散らまく惜しみ鳴き行くものを
- 次の歌
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夕影に来鳴くひぐらしここだくも 日ごとに聞けど飽かぬ声かも