古典和歌stream

秋風の寒く吹くなへ我が宿の
浅茅が本にこほろぎ鳴くも

歌の意味
秋風が寒く吹くにつれて、我が家の浅茅の根もとで、こおろぎが鳴いている。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2158

詞書「蟋を詠む」
 秋風が寒く吹くのにつれて、家の浅茅の根もとでこおろぎが鳴く様子を詠んだ歌で、題詞は「蟋を詠む」である。秋風の寒さとこおろぎの声とが重なり、秋の深まりをしみじみと感じさせる。蝉の歌に続いて、秋の虫の声が詠まれていく。

 初句「秋風の」は秋風がの意である。
 二句「寒く吹くなへ」の「なへ」はそれにつれての意である。
 三句「我が宿の」は私の家のの意である。
 四句「浅茅が本に」は浅茅の根もとにの意である。
 結句「こほろぎ鳴くも」の「も」は詠嘆である。秋の深まりを告げる虫の声を示して結ぶ。

あさぢ:丈の低い茅萱
こほろぎ:秋に鳴く虫の総称。現在のコオロギに限らない
出典
万葉集
前の歌
夕影に来鳴くひぐらしここだくも 日ごとに聞けど飽かぬ声かも
次の歌
蔭草の生ひたる宿の夕影に 鳴くこほろぎは聞けど飽かぬかも