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蔭草の生ひたる宿の夕影に
鳴くこほろぎは聞けど飽かぬかも

歌の意味
物陰の草が生い茂った家の、夕方の光の中で鳴くこおろぎの声は、いくら聞いても飽きないことだ。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2159

詞書は前の歌に続き「蟋を詠む」
 物陰の草の茂る家で、夕方の光の中に鳴くこおろぎの声を、いくら聞いても飽きないとたたえる歌である。前歌がこおろぎの声に秋の寒さを感じたのに対し、この歌はその声を賞美しており、本巻の第二千百五十七首のひぐらしの歌と同じく「夕影」に鳴く虫の声をたたえている。

 初句「蔭草の」は物陰に生える草のの意である。
 二句「生ひたる宿の」は生い茂った家のの意である。
 三句「夕影に」は夕方の光の中にの意で、第二千百五十七首の初句と同じ語である。
 四句「鳴くこほろぎは」は鳴くこおろぎはの意である。
 結句「聞けど飽かぬかも」は聞いても飽きないことだの意で、讃美の表現である。

かげくさ:物陰に生える草
こほろぎ:秋に鳴く虫の総称。現在のコオロギに限らない
出典
万葉集
前の歌
秋風の寒く吹くなへ我が宿の 浅茅が本にこほろぎ鳴くも
次の歌
庭草に村雨降りてこほろぎの 鳴く声聞けば秋づきにけり