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瀬を早み落ちたぎちたる白波に
かはづ鳴くなり朝夕ごとに

歌の意味
瀬の流れが速いので、激しく流れ落ちてわき立つ白波の中で、かじか蛙が鳴いている。朝ごと夕ごとに。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2164

詞書は前の歌に続き「蝦を詠む」
 流れの速い瀬で激しく流れ落ちる白波の中に、朝夕ごとにかじか蛙が鳴いていると詠んだ歌である。激しい水の流れと、その中で絶えず鳴く蛙の声とが重なり、清流の生命感が力強く描かれている。本巻の第千八百七十八首の明日香川の「たぎつ瀬」と同じく、わき立つ急流を詠んでいる。

 初句「瀬を早み」の「み」は原因を表し、瀬が速いのでの意である。
 二句「落ちたぎちたる」の「たぎつ」は水が激しく流れる意で、字余りの句である。
 三句「白波に」は白波の中にの意である。
 四句「かはづ鳴くなり」の「なり」は伝聞推定で、ここで四句切れとなる。
 結句「朝夕ごとに」は朝ごと夕ごとにの意で、倒置によって絶え間なく鳴くことを示している。

たぎつ:水が激しく流れる。わきかえる
出典
万葉集
前の歌
草枕旅に物思ひ我が聞けば 夕かたまけて鳴くかはづかも
次の歌
上つ瀬にかはづ妻呼ぶ夕されば 衣手寒み妻まかむとか