古典和歌stream

雁がねの来鳴きしなへに韓衣
龍田の山はもみちそめたり

歌の意味
雁が来て鳴いたのにつれて、龍田の山は紅葉し始めた。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2194

詞書は前の歌に続き「黄葉を詠む」
 雁が来て鳴いたのにつれて、龍田の山が紅葉し始めたと詠んだ歌である。紅葉の名所として知られる龍田山の色づき始めを、雁の到来と結びつけている。本巻の第二千百九十一首と同じく「なへに」の語で雁と紅葉を同時の出来事としてとらえ、次歌の第二千百九十五首も同じ構文で春日山を詠んでおり、二首が対をなしている。

 初句「雁がねの」は雁のの意である。
 二句「来鳴きしなへに」の「なへに」はそれにつれての意である。
 三句「韓衣」は衣を裁つ意から「龍田」にかかる枕詞である。
 四句「龍田の山は」は大和と河内の境にある龍田山で、紅葉の名所として知られる。
 結句「もみちそめたり」の「そむ」は始める意、「たり」は存続である。

からころも:中国風の衣。「からころも」で「裁つ」の音から「龍田」などにかかる枕詞となる
出典
万葉集
前の歌
秋風の日に異に吹けば水茎の 岡の木の葉も色づきにけり
次の歌
雁がねの声聞くなへに明日よりは 春日の山はもみちそめなむ