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夕されば雁の越え行く龍田山
しぐれに競ひ色づきにけり

歌の意味
夕方になると雁が越えて行く龍田山は、しぐれと競い合うように色づいたことだ。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2214

詞書は前の歌に続き「黄葉を詠む」
 夕方になると雁が越えて行く龍田山が、しぐれと競い合うように色づいたと詠んだ歌である。雁、しぐれ、紅葉という秋の景物が龍田山に集まり、晩秋の情景が描かれている。本巻の第二千百九十四首、第二千二百十一首に続く龍田山の紅葉の歌で、龍田山が紅葉の名所として繰り返し詠まれている。

 初句「夕されば」は夕方になるとの意である。
 二句「雁の越え行く」は雁が越えて行くの意である。
 三句「龍田山」は紅葉の名所として知られる山である。
 四句「しぐれに競ひ」の「競ふ」は張り合う意で、しぐれと競い合うようにの意となる。
 結句「色づきにけり」の「けり」は気づきの詠嘆である。

きほふ:張り合う。競い合う
出典
万葉集
前の歌
このころの暁露に我が宿の 秋の萩原色づきにけり
次の歌
さ夜更けてしぐれな降りそ秋萩の 本葉の黄葉散らまく惜しも