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故郷の初黄葉を手折り持ち
今日ぞ我が来し見ぬ人のため

歌の意味
故郷の初紅葉を手折って持って、今日私はやって来た。まだ見ていない人のために。
鑑賞
巻第十 秋雑歌 2216

詞書は前の歌に続き「黄葉を詠む」
 故郷の初紅葉を手折って、まだ見ていない人のために持って来たと詠んだ歌である。美しい紅葉を見せたい人を思う心づかいが表れている。春雑歌の第千八百六十八首で吉野の馬酔木を持ち帰った歌や、本巻の第二千百十一首で使いが萩を手折って来た歌と同じく、美しい自然を手折って贈る心が詠まれている。

 初句「故郷の」は昔住んでいた土地、旧都のの意である。
 二句「初黄葉を」はその年初めての紅葉をの意である。
 三句「手折り持ち」は手折って持っての意である。
 四句「今日ぞ我が来し」の「ぞ」は強意の係助詞で、「し」は過去の「き」の連体形の結びである。ここで四句切れとなる。
 結句「見ぬ人のため」はまだ見ていない人のためにの意で、倒置によって目的を最後に示している。

はつもみちば:その年初めての紅葉
たをる:手で折る
出典
万葉集
前の歌
さ夜更けてしぐれな降りそ秋萩の 本葉の黄葉散らまく惜しも
次の歌
君が家の黄葉は早く散りにけり しぐれの雨に濡れにけらしも