あしひきの山田作る子秀でずとも
縄だに延へよ守ると知るがね
- 歌の意味
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山の田を作る人よ、稲の穂がまだ出ていなくとも、せめて縄だけでも張っておけ。番をしていると人にわかるように。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2219
詞書「水田を詠む」
山の田を作る人に、稲の穂が出ていなくとも縄を張って番をしていることを示せと呼びかける歌で、題詞は「水田を詠む」である。表面は農事の歌であるが、まだ年若い娘に対し、早くから自分のものと示しておけという譬喩と解されることが多い。本巻の第二千百十四首の萩に標を刺す歌と同じく、しるしを付けて所有を示す趣向である。
初句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
二句「山田作る子」は山の田を作る人の意である。
三句「秀でずとも」の「秀づ」は穂が出る意、「とも」は逆接の仮定である。字余りの句である。
四句「縄だに延へよ」の「だに」はせめて…だけでもの意、「延へよ」は命令形である。
結句「守ると知るがね」の「がね」は目的を表す終助詞で、番をしていると人にわかるようにの意となる。
ひづ:穂が出る
はふ:縄などを長く張りめぐらす
もる:見張って守る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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一年にふたたび行かぬ秋山を 心に飽かず過ぐしつるかも
- 次の歌
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さを鹿の妻呼ぶ山の岡辺なる 早稲田は刈らじ霜は降るとも