恋ひつつも稲葉かき別け家居れば
乏しくもあらず秋の夕風
- 歌の意味
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恋しく思いながらも、稲の葉をかき分けたところに住んでいると、秋の夕風は少しも物足りなくはない。
- 鑑賞
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巻第十 秋雑歌 2230
詞書「風を詠む」
恋しさを抱えながら稲田の中の仮住まいにいると、秋の夕風が絶えず吹き寄せると詠んだ歌で、題詞は「風を詠む」である。「乏しくもあらず」には、恋しい人は訪れないのに夕風ばかりはたっぷりと吹くという、ほのかな皮肉がこめられているとも読める。春雑歌の第千八百二十首の「乏しくもあらず鴬の声」と同じ四句で、春の鴬の声に対して秋の夕風を詠んでいる。
初句「恋ひつつも」は恋しく思いながらもの意である。
二句「稲葉かき別け」は稲の葉をかき分けての意で、稲田の中の住まいを示す。
三句「家居れば」は家を構えて住んでいるのでの意である。
四句「乏しくもあらず」は少なくはないの意で、第千八百二十首の四句と同じ句である。字余りの句である。
結句「秋の夕風」は体言止めである。絶えず吹き寄せる夕風を示して結ぶ。
いなば:稲の葉
- 出典
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万葉集
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白露を玉になしたる九月の 有明の月夜見れど飽かぬかも
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萩の花咲きたる野辺にひぐらしの 鳴くなるなへに秋の風吹く