- 歌の意味
- 秋の田を刈る旅の仮小屋にしぐれが降って、私の袖は濡れてしまった。乾かしてくれる人もいないのに。
- 鑑賞
-
巻第十 秋雑歌 2235
詞書は前の歌に続き「雨を詠む」
秋の田を刈るための旅の仮小屋にしぐれが降り、袖が濡れても乾かしてくれる人がいないと嘆く歌である。旅の仮住まいの寂しさと、家で世話をしてくれる妻への思いが表れている。本巻の第二千百七十四首の仮廬で袖に露が置く歌と同じく、秋の田の仮住まいで袖が濡れる寂しさを詠んでいる。
初句「秋田刈る」は秋の田を刈るの意である。
二句「旅の廬りに」の「廬り」は仮小屋の意である。
三句「しぐれ降り」はしぐれが降っての意である。
四句「我が袖濡れぬ」の「ぬ」は完了で、ここで四句切れとなる。
結句「干す人なしに」は乾かしてくれる人もいないのにの意である。倒置によって寂しさを最後に示している。
いほり:仮に作った小屋。仮住まい
- 出典
- 万葉集
- 前の歌
- 一日には千重しくしくに我が恋ふる 妹があたりにしぐれ降れ見む
- 次の歌
- 玉たすき懸けぬ時なし我が恋は しぐれし降らば濡れつつも行かむ