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泊瀬風かく吹く宵はいつまでか
衣片敷き我がひとり寝む

歌の意味
泊瀬の風がこのように吹く夜は、いつまで衣の片袖を敷いて、私はひとりで寝るのだろうか。
鑑賞
巻第十 秋相聞 2261

詞書は前の歌に続き「風に寄す」
 泊瀬の風が吹く寒い夜に、いつまで衣の片袖を敷いてひとり寝をするのだろうかと嘆く歌である。「衣片敷き」は自分の衣の袖だけを敷いて寝る独り寝を表す語で、寒い風の夜の独り寝の寂しさがいっそう際立っている。前歌が恋人を衣として身につけたいと願ったのに対し、この歌は自分の衣を片敷く独り寝を嘆いており、衣をめぐって対照的である。

 初句「泊瀬風」は大和国泊瀬の地から吹く風の意である。
 二句「かく吹く宵は」はこのように吹く夜はの意である。
 三句「いつまでか」の「か」は疑問の係助詞で、結句の「む」と係り結びをなす。
 四句「衣片敷き」は衣の片袖を敷いての意で、独り寝を表す。
 結句「我がひとり寝む」は私はひとりで寝るのだろうかの意で、三句の「か」の結びである。

はつせかぜ:大和国の泊瀬から吹く風
ころもかたしく:自分の衣の片袖だけを敷いて寝る。独り寝をする
出典
万葉集
前の歌
我妹子は衣にあらなむ秋風の 寒きこのころ下に着ましを
次の歌
秋萩を散らす長雨の降るころは ひとり起き居て恋ふる夜ぞ多き