- 歌の意味
- こおろぎが待ち喜んでいる秋の夜を、寝るかいもない。枕と私とは。
- 鑑賞
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巻第十 秋相聞 2264
詞書「蟋に寄す」
こおろぎが待ち喜ぶ秋の長い夜も、恋人のいない自分と枕にとっては寝るかいもないと嘆く歌で、題詞は「蟋に寄す」である。秋の夜を喜んで鳴くこおろぎと、独り寝の寂しい自分との対比が鮮やかである。「枕と我れは」と枕を自分の仲間として並べる表現に、独り寝の孤独がユーモラスに表されている。
初句「こほろぎの」はこおろぎがの意である。
二句「待ち喜ぶる」は待ち喜んでいるの意である。
三句「秋の夜を」は秋の夜をの意である。
四句「寝る験なし」の「験」はかい、効果の意で、寝るかいもないの意である。ここで四句切れとなる。
結句「枕と我れは」は枕と私とはの意で、倒置によって寝るかいのない者を最後に示している。
こほろぎ:秋に鳴く虫の総称。現在のコオロギに限らない
しるし:効果がある。かいがある
- 出典
- 万葉集
- 前の歌
- 九月のしぐれの雨の山霧の いぶせき我が胸誰を見ばやまむ
- 次の歌
- 朝霞鹿火屋が下に鳴くかはづ 声だに聞かば我れ恋ひめやも