朝霞鹿火屋が下に鳴くかはづ
声だに聞かば我れ恋ひめやも
- 歌の意味
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朝霞の立ちこめる鹿火屋の下で鳴くかじか蛙の声のように、せめて声だけでも聞けたなら、私はこんなに恋い慕うだろうか。
- 鑑賞
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巻第十 秋相聞 2265
詞書「蝦に寄す」
鹿火屋の下で鳴くかじか蛙の声のように、せめて恋人の声だけでも聞けたならこれほど恋い慕うことはないと詠んだ歌で、題詞は「蝦に寄す」である。姿の見えない蛙の声を序として、恋人の声さえ聞けない切なさを表している。秋相聞の冒頭の第二千二百三十九首の「声だに聞かば何か嘆かむ」とほぼ同じ趣向で、秋相聞の中で呼応している。
初句「朝霞」は「鹿火屋」にかかる枕詞とされる。
二句「鹿火屋が下に」の「鹿火屋」は獣を追い払うために火をたく小屋とされる。
三句「鳴くかはづ」は鳴くかじか蛙の意で、上の句は「声」を導く序となっている。
四句「声だに聞かば」の「だに」はせめて…だけでもの意である。第二千二百三十九首の四句と同じ句である。
結句「我れ恋ひめやも」の「めやも」は反語で、恋い慕うだろうか、いやしないの意である。
かひや:獣を追い払うために火をたく小屋とされる
かはづ:カジカガエル。清流に住み、澄んだ声で鳴く
- 出典
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万葉集
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こほろぎの待ち喜ぶる秋の夜を 寝る験なし枕と我れは
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出でて去なば天飛ぶ雁の泣きぬべみ 今日今日と言ふに年ぞ経にける