さを鹿の小野の草伏いちしろく
我がとはなくに人の知れらく
- 歌の意味
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雄鹿の野の草の寝床がはっきりとわかるように、私が訪ねたわけでもないのに、人に知られてしまったことよ。
- 鑑賞
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巻第十 秋相聞 2268
詞書は前の歌に続き「鹿に寄す」
雄鹿の寝た草の跡がはっきりとわかるように、恋人を訪ねたわけでもないのに人に知られてしまったと嘆く歌である。前歌が人に知られるなと戒めたのに対し、この歌はすでに人に知られてしまったことを嘆いており、二首は忍ぶ恋の前後を詠んでいる。春相聞の第千九百五首の、身に覚えのないことで噂された恋人を思う歌とも通じる。
初句「さを鹿の」は前歌と同じ初句である。
二句「小野の草伏」の「草伏」は鹿が草の上に伏した跡、寝床の意である。
三句「いちしろく」ははっきりとの意で、上の句は「いちしろく」を導く序となっている。
四句「我がとはなくに」の「とふ」は訪ねる意、「なくに」は打ち消しのク語法に「に」の付いた形で、私が訪ねたわけでもないのにの意となる。
結句「人の知れらく」の「らく」はク語法で、人に知られてしまったことよの意となる。
くさぶし:鹿などが草の上に伏した跡。寝床
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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さを鹿の朝伏す小野の草若み 隠らひかねて人に知らゆな
- 次の歌
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今夜の暁ぐたち鳴く鶴の 思ひは過ぎず恋こそまされ