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今夜の暁ぐたち鳴く鶴の
思ひは過ぎず恋こそまされ

歌の意味
今夜の夜明け前の時が過ぎていくころに鳴く鶴のように、思いは晴れることなく、恋しさがいっそうまさることだ。
鑑賞
巻第十 秋相聞 2269

詞書「鶴に寄す」
 今夜の夜明け前に鳴く鶴の声のように、恋の思いは晴れず、いっそうつのると詠んだ歌で、題詞は「鶴に寄す」である。夜明け前の闇の中に響く鶴の鋭い声が、晴れない恋の思いを象徴している。本巻の第二千百四十五首の「恋こそまされ」と同じ結句をもち、つのる恋しさを詠んでいる。

 初句「今夜の」は今夜のの意で、字足らずの句である。
 二句「暁ぐたち」は夜明け前の時が過ぎていくころの意である。
 三句「鳴く鶴の」は鳴く鶴のようにの意で、上の句は下の句の比喩となっている。
 四句「思ひは過ぎず」の「過ぐ」は思いが晴れる意で、思いは晴れずの意となる。
 結句「恋こそまされ」の「こそ」は強意の係助詞で、「まされ」は已然形の結びである。第二千百四十五首と同じ結句である。

あかときぐたち:夜明け前の時が過ぎていくころ
たづ:鶴
出典
万葉集
前の歌
さを鹿の小野の草伏いちしろく 我がとはなくに人の知れらく
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道の辺の尾花が下の思ひ草 今さらさらに何をか思はむ