古典和歌stream

朝露に咲きすさびたる月草の
日くたつなへに消ぬべく思ほゆ

歌の意味
朝露の中で咲き誇っている月草が、日が傾くにつれてしぼんでいくように、私も消え入りそうに思われる。
鑑賞
巻第十 秋相聞 2281

詞書は前の歌に続き「花に寄す」
 朝露の中で咲き誇る月草が、日が傾くにつれてしぼんでいくように、自分も恋に消え入りそうだと詠んだ歌である。朝に咲いて昼にはしぼむ露草のはかなさに、恋に弱っていく自分の姿を重ねている。本巻の第二千二百九十一首も「朝咲き夕は消ぬる月草の」と月草のはかなさを詠んでおり、二首が呼応している。

 初句「朝露に」は朝露の中にの意である。
 二句「咲きすさびたる」の「すさぶ」は勢いのままにする意で、咲き誇っているの意となる。
 三句「月草の」はツユクサの古名で、朝に咲いて昼にしぼむ花である。上の句は「消」を導く序となっている。
 四句「日くたつなへに」の「くたつ」は盛りを過ぎて傾く意、「なへに」はそれにつれての意である。
 結句「消ぬべく思ほゆ」は消え入りそうに思われるの意で、字余りの句である。

つきくさ:ツユクサの古名。朝に咲いて昼にしぼむ
くたつ:盛りを過ぎて衰える。日が傾く
出典
万葉集
前の歌
萩の花咲けるを見れば君に逢はず まことも久になりにけるかも
次の歌
長き夜を君に恋ひつつ生けらずは 咲きて散りにし花ならましを