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石橋の間々に生ひたるかほ花の
花にしありけりありつつ見れば

歌の意味
飛び石の間ごとに生えているかお花のように、花のようにはかないものであったのだ。ずっと見続けていると。
鑑賞
巻第十 秋相聞 2288

詞書は前の歌に続き「花に寄す」
 飛び石の間に生えるかお花のように、恋人の心も花のように移ろいやすいものだったと、見続けているうちに気づいたと詠んだ歌である。「花にしありけり」には、実のない、あだなものであったという嘆きが込められていると考えられる。長く見守ってきた相手への失望が、静かな詠嘆の中に表れている。

 初句「石橋の」の「石橋」は川に置いた飛び石の意である。
 二句「間々に生ひたる」は間ごとに生えているの意である。
 三句「かほ花の」の「かほ花」はヒルガオなどとする説がある花である。上の句は「花」を導く序となっている。
 四句「花にしありけり」の「花」はあだなもの、実のないものの意、「し」は強意、「けり」は気づきの詠嘆である。ここで四句切れとなる。
 結句「ありつつ見れば」はずっと見続けているとの意である。倒置によって気づいた経緯を最後に示している。

いしはし:川に置いた飛び石
かほばな:ヒルガオなどとする説のある花
出典
万葉集
前の歌
我が宿の萩咲きにけり散らぬ間に 早来て見べし奈良の里人
次の歌
藤原の古りにし里の秋萩は 咲きて散りにき君待ちかねて