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藤原の古りにし里の秋萩は
咲きて散りにき君待ちかねて

歌の意味
藤原の古びてしまった里の秋萩は、咲いて散ってしまった。あなたを待ちかねて。
鑑賞
巻第十 秋相聞 2289

詞書は前の歌に続き「花に寄す」
 古びてしまった藤原の里の萩が、恋人を待ちかねて咲いて散ってしまったと詠んだ歌である。旧都となった藤原の里の寂しさと、訪れない恋人を待つ寂しさとが重なっている。萩が恋人を待ちかねて散ったとする擬人的な表現に、待ち続けた作者自身の心が託されている。

 初句「藤原の」は持統天皇の時代の都、藤原京の地である。
 二句「古りにし里の」の「古る」は古びる意で、旧都となった里のの意である。
 三句「秋萩は」は秋萩はの意で、主題を示す。
 四句「咲きて散りにき」の「に」は完了、「き」は過去で、ここで四句切れとなる。
 結句「君待ちかねて」はあなたを待ちかねての意で、倒置によって散った理由を最後に示している。

ふる:古くなる。古びる
出典
万葉集
前の歌
石橋の間々に生ひたるかほ花の 花にしありけりありつつ見れば
次の歌
秋萩を散り過ぎぬべみ手折り持ち 見れども寂し君にしあらねば