咲けりとも知らずしあらば黙もあらむ
この秋萩を見せつつもとな
- 歌の意味
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咲いたとも知らずにいるなら黙っていられようものを。この秋萩をむやみに見せつけて。
- 鑑賞
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巻第十 秋相聞 2293
詞書は前の歌に続き「花に寄す」
萩が咲いたと知らなければ平静でいられたのに、この萩をむやみに見せられて恋しさがつのると嘆く歌で、花に寄する一連を締めくくる。美しい萩の花が恋人を思い出させ、心を乱すものとなっている。夏雑歌の第千九百六十四首の「黙もあらむ時も鳴かなむ」と同じく「黙もあらむ」の語を用い、自然の美しさがかえって心を乱す嘆きを詠んでいる。
初句「咲けりとも」は咲いているともの意である。
二句「知らずしあらば」の「し」は強意、「ば」は仮定で、知らずにいたならばの意となる。
三句「黙もあらむ」の「黙」は黙っていること、平静でいることの意で、ここで三句切れとなる。
四句「この秋萩を」はこの秋萩をの意である。
結句「見せつつもとな」の「もとな」はむやみにの意である。心を乱す萩を嘆いて結ぶ。
もだ:黙っていること。何もしないでいること
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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秋津野の尾花刈り添へ秋萩の 花を葺かさね君が仮廬に
- 次の歌
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秋されば雁飛び越ゆる龍田山 立ちても居ても君をしぞ思ふ