黄葉の過ぎかてぬ子を人妻と
見つつやあらむ恋しきものを
- 歌の意味
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紅葉の散り過ぎないように忘れられないあの子を、人妻として見ているだけでいるのだろうか。こんなに恋しいのに。
- 鑑賞
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巻第十 秋相聞 2297
詞書は前の歌に続き「黄葉に寄す」
忘れようにも忘れられない恋しい娘を、人妻として見ているだけでいなければならないのかと嘆く歌である。「黄葉の」は紅葉が散り過ぎる意から「過ぎ」を導く枕詞で、散り過ぎない紅葉のように心から去らない恋が詠まれている。秋雑歌の七夕歌の第千九百九十九首の「人妻ゆゑに我れ恋ひぬべし」と同じく、人妻への恋のためらいと思いが表れている。
初句「黄葉の」は紅葉が散り過ぎる意から「過ぐ」にかかる枕詞である。
二句「過ぎかてぬ子を」の「かてぬ」はできない意で、忘れ去ることのできない娘をの意となる。
三句「人妻と」は他人の妻としての意である。
四句「見つつやあらむ」の「や」は疑問の係助詞で、「む」の連体形と係り結びをなす。見ているだけでいるのだろうかの意となる。
結句「恋しきものを」の「ものを」は逆接、詠嘆で、恋しいのにの意である。
もみちば:紅葉した葉。「もみちばの」で「過ぐ」「移る」にかかる枕詞となる
ひとづま:他人の妻
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あしひきの山さな葛もみつまで 妹に逢はずや我が恋ひ居らむ
- 次の歌
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君に恋ひ萎えうらぶれ我が居れば 秋風吹きて月かたぶきぬ