君に恋ひ萎えうらぶれ我が居れば
秋風吹きて月かたぶきぬ
- 歌の意味
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あなたを恋しく思って、しおれて沈み込んで私がいると、秋風が吹いて、月が西に傾いてしまった。
- 鑑賞
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巻第十 秋相聞 2298
詞書「月に寄す」
恋人を思ってしおれ沈んでいるうちに、秋風が吹き月が西に傾いてしまったと詠んだ歌で、題詞は「月に寄す」である。月の傾きによって長い時の経過が示され、恋に沈む夜の長さと寂しさが表れている。秋雑歌の第二千百四十三首の「君に恋ひうらぶれ居れば」とほぼ同じ上の句で、そこでは鹿の声を聞いたのに対し、この歌は月の傾きを見ている。
初句「君に恋ひ」はあなたを恋しく思っての意である。
二句「萎えうらぶれ」の「萎ゆ」はしおれる、「うらぶる」は心が沈む意である。
三句「我が居れば」は私がいるとの意で、「ば」は確定条件である。
四句「秋風吹きて」は秋風が吹いての意である。
結句「月かたぶきぬ」の「かたぶく」は傾く、「ぬ」は完了である。夜の更けたことを示して結ぶ。
しなゆ:しおれる。ぐったりする
うらぶる:しょんぼりする。心が沈む
- 出典
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万葉集
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黄葉の過ぎかてぬ子を人妻と 見つつやあらむ恋しきものを
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秋の夜の月かも君は雲隠り しましく見ねばここだ恋しき