九月の有明の月夜ありつつも
君が来まさば我れ恋ひめやも
- 歌の意味
-
九月の有明の月夜のように、ずっと変わらずにあなたが来てくださるなら、私はこんなに恋い慕うだろうか。
- 鑑賞
-
巻第十 秋相聞 2300
詞書は前の歌に続き「月に寄す」
九月の有明の月が夜明けまで空に残るように、恋人がいつまでも通って来てくれるなら、これほど恋い慕うことはないと詠んだ歌である。「有明の」の「あり」から「ありつつ」を導き、月の変わらぬ姿に恋人の変わらぬ訪れへの願いを重ねている。秋雑歌の第二千二百二十九首の有明の月夜をたたえる歌に対し、相聞では有明の月が恋の願いの序となっている。
初句「九月の」は陰暦九月のの意である。
二句「有明の月夜」は夜明けまで空に残る月の出ている夜の意である。
三句「ありつつも」は変わらずにずっとの意で、上の句は同音の「あり」を導く序となっている。
四句「君が来まさば」の「ます」は尊敬語、「ば」は仮定である。
結句「我れ恋ひめやも」の「めやも」は反語で、恋い慕うだろうか、いやしないの意である。
ありあけ:月が空に残ったまま夜が明けること。また、その月
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
秋の夜の月かも君は雲隠り しましく見ねばここだ恋しき
- 次の歌
-
よしゑやし恋ひじとすれど秋風の 寒く吹く夜は君をしぞ思ふ