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ある人のあな心なと思ふらむ
秋の長夜を寝覚め臥すのみ

歌の意味
ある人は、ああ気の利かないことだと思っているだろう。秋の長い夜を、目が覚めたまま臥せっているばかりで。
鑑賞
巻第十 秋相聞 2302

詞書は前の歌に続き「夜に寄す」
 秋の長い夜を眠れずに臥せっているばかりの自分を、人は情けないと思っているだろうと詠んだ歌である。恋のために眠れない自分を客観的に見つめ、恥じらいと嘆きとが表れている。前歌の寒い夜の恋しさに続き、この歌は秋の長夜の眠れぬ苦しさを詠んでいる。

 初句「ある人の」はある人がの意である。
 二句「あな心なと」の「あな」は感動詞、「心な」は思慮がない、情けないの意である。
 三句「思ふらむ」の「らむ」は現在推量で、思っているだろうの意である。ここで三句切れとなる。
 四句「秋の長夜を」は秋の長い夜をの意である。
 結句「寝覚め臥すのみ」は目が覚めたまま臥せっているばかりの意で、眠れぬ夜の姿を示して結ぶ。

ねざむ:眠りから覚める
出典
万葉集
前の歌
よしゑやし恋ひじとすれど秋風の 寒く吹く夜は君をしぞ思ふ
次の歌
秋の夜を長しと言へど積もりにし 恋を尽せば短くありけり