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秋の夜を長しと言へど積もりにし
恋を尽せば短くありけり

歌の意味
秋の夜は長いと言うけれども、積もり積もった恋の思いを晴らしていると、短いものであったよ。
鑑賞
巻第十 秋相聞 2303

詞書は前の歌に続き「夜に寄す」
 秋の夜は長いと言われるが、積もった恋の思いを恋人と語り尽くしていると短かったと詠んだ歌で、夜に寄する一連を締めくくる。前歌の独り寝の秋の長夜に対し、この歌は恋人と過ごす秋の夜の短さを詠んでおり、同じ秋の夜が恋の状況によって長くも短くも感じられることが対比されている。夏相聞の第千九百八十一首の独り寝では短夜も明かしかねるという歌とも、長短が反転した関係にある。

 初句「秋の夜を」は秋の夜をの意である。
 二句「長しと言へど」の「ど」は逆接で、長いと言うけれどもの意となる。
 三句「積もりにし」の「に」は完了、「し」は過去の「き」の連体形で、積もった、の意である。
 四句「恋を尽せば」は恋の思いを尽くすとの意である。
 結句「短くありけり」の「けり」は気づきの詠嘆である。夜の短さに気づいた感慨を示して結ぶ。

つもる:積もる。重なる
出典
万葉集
前の歌
ある人のあな心なと思ふらむ 秋の長夜を寝覚め臥すのみ
次の歌
秋つ葉ににほへる衣我れは着じ 君に奉らば夜も着るがね