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あしひきの山道も知らず白橿の
枝もとををに雪の降れれば

歌の意味
山道もわからない。白橿の枝もたわむほどに雪が降り積もっているので。
鑑賞
巻第十 冬雑歌 2315

詞書は前の歌に続き「冬雑歌」
 白橿の枝もたわむほどに雪が降り積もって、山道もわからなくなったと詠んだ歌である。雪に埋もれた山の深さと、道を失う心細さとが表れている。訓読には四句に「或云 枝もたわたわ」の異伝が添えられている。左注には人麻呂歌集に出るとしたうえで、この一首については或本に三方沙弥の作とあると記されており、作者についての異伝がある。
 作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。

 初句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
 二句「山道も知らず」は山道もわからないの意で、ここで二句切れとなる。
 三句「白橿の」は白橿のの意で、常緑のカシの一種である。
 四句「枝もとををに」の「とをを」は枝がたわみしなう様子を表し、秋雑歌の第二千百七十首と同じ語である。
 結句「雪の降れれば」の「れ」は存続の「り」の已然形、「ば」は確定条件で、雪が降り積もっているのでの意となる。

しらかし:カシの一種。常緑の高木
作者
柿本人麻呂
出典
万葉集
前の歌
巻向の桧原もいまだ雲居ねば 小松が末ゆ沫雪流る
次の歌
奈良山の嶺なほ霧らふうべしこそ 籬が下の雪は消ずけれ